黄色マットのジム内で、キックとブロックを交わす2人の会員がスパーリング形式でトレーニングする様子

【マサノのひとりごと】

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2026.07.08[ブログ]#スタッフ#松山和弘#試合

【マサノのひとりごと】

RISEのリング上で試合が終わり、マットに崩れ落ちる選手と、それを制止するために手を上げるレフェリーの様子

お笑いの世界と格闘技の世界はどこか通ずるところがあると感じています。

お笑い芸人は「ウケれば勝ち」の世界。ライブでウケればそいつが勝ち。ウケなかった他の人たちは負け。明暗がくっきり出る業界です。

ネタでウケれば番組のオーディションに呼ばれる。そこで跳ねれば業界の人から認められてネタが番組で放送される。そこからずっと結果を出し続ければようやくテレビに定着し始めて、そこでようやく世の中の人達に認知されていく。(今はSNSから世に出る人も多いと思いますが)

たとえ素行が多少不良であってもそんなの関係なし。おもしろい、が正義の世界。

格闘家も似ていて、たとえプライベートがいろんな噂にまみれている人間だとしても「強いやつが正義」みたいなところがあると思います。

強けりゃ勝ち。弱けりゃ鼻血だしてリングの上でぶっ倒れてる。

ここまで単純明快でわかりやすく「残酷」な世界は無いなと。

私は憧れていたお笑いの世界に飛び込み、負けた。負けて諦めて足を洗おうとしたタイミングで、会長が拾ってくれて格闘技の世界にチョンッと足を踏み入れることになりました。

・・・

先週、当ジム所属の松山和弘がRISEに出場しました。RISEルールでセコンドは3人までなので、私は久しぶりに観客席から見ることに。松山の応援Tシャツを着たまま座席に座ると、隣の3人組の男の子たちが私に興味ありげに声をかけました。

「松山の応援の方なんですね!今日はよろしくお願いします!」

聞けばその3人組は松山の同級生?の男の子達らしく、とても律儀で礼儀正しく、まさに松山あってこの3人組あり、というような子達でした。

私は普段は人見知りなので隣の人と話すことなんてまずないのですが、優しい子たちだったので、松山のジムの人間だということを伝え、松山の今の状況、相手に対して警戒するところ、を彼らに伝えました。

3人組は揃って、「いやぁ俺緊張してきた!」「フックが危ないから俺たちで声かけよう!」「いやぁー頼むぜ松山…!」と赤らんだ顔で興奮していました。

そんな3人組の会話を聞きながら心底、「良かったね松山。こんな優しい友達に恵まれて」と思いました。試合が近づくにつれて徐々に顔がこわばっていく3人。

第7試合。

試合がはじまる。3人組は目の色を変えてリングに上がる松山を睨みつける。きっと、松山と同じ気持ちだったのでしょう。

1Rが終わり、3人組は座って大きなため息をついた。よほど力が入っていたのでしょう。私の座席スペースに半分侵入している前のめり姿勢だったのを謝られました。

そして2R目。

一方的にやられる展開に隣の3人組のボルテージも上がります。声を枯らしながら「いけー!」と叫ぶ。

最初のダウン。

3人組は即座に立ち上がり「立てー!」「がんばれー!」と叫ぶ。

私は隣の熱量に押されながら、無言で試合を見続けていました。

2R終盤、一方的にやられてる松山を見て、彼らは半分泣いているような声で叫んでいました。

再びダウン。試合終了。

リングでしばらく倒れている松山を、3人組は涙を流しながら「よく頑張った!」と讃えていた。

私はなんだかいたたまれない気持ちになって、席を外しました。

去り際に隣の子達に感謝の気持ちを伝えると、目を真っ赤にさせながら「ありがとうございました」と言われた。複雑な気持ちになった。

セコンドパスを持っているわけではないので、松山のもとに行くこともできず、とりあえず代々木まで戻って飲むことにしました。

まず思うこと。

松山に対してあれだけの応援団と熱量で応援されるのは彼あってこそ。

松山の人柄が、そうさせてる。

嬉しい反面、その上でジムの責任者として、そんなウチの選手を応援してくれる人たちに涙を流させてしまったことに、申し訳ない気持ちが先に立った。

松山の負けは彼だけの負けではなく、私たちも負けだということ。

あのやられ方、あのボコボコの姿を見たら、簡単に「さぁ次だ次だ!」という気持ちには到底なれやしない。完全な敗北でした。

後楽園をあとにしながら、引退後の彼のことを考えました。現役の頃よりも引退後の方が人生はるかに長い。ダメージ。それを気にしてしまいました。

芸人時代、ある大事なお笑いライブで自分達の漫才がウケなかった時、とぼとぼと相方と外に出ようとすると、いわゆる「出待ち」の子達に、「私は面白いと思ったよ!」「私は好きだけどなぁあの世界観」と言われて複雑な気持ちになった時を思い出した。

正直まったく嬉しくなかった。

むしろ悔しさしか残らなかった。

なので、松山には今回はねぎらいの言葉をかけないことにしました。

立ち直るのは彼次第だし、今後のことも彼が決めること。ただ、

ただ、私の隣にいた、あの3人組の姿が印象的だったので、ここに残しておこうと書いてます。

あの3人組が今度は歓喜の涙を流している姿が見たいなぁという淡い期待を寄せて!

皆様応援ありがとうございました!